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インクジェットの種類 インクの種類と性質の説明
同じプリンターでもインクを使用するものとトナーを使用するものに分かれていたり、インクの中でも染料と顔料に分かれていたり、別の種類のインクがあったり、「何を選べばいいのか分からない」とお困りの方も多いのではないでしょうか。一口にインクといっても種類や性質など複雑ですよね。
今回は、そんなインクの種類や性質についてご説明します。
インクとは
インクとは染料・顔料を含んだ液体、ジェル、個体で、文字を書いたり表面に色付けするために用いられるものです。
一般的にインクジェットのインクの多くは液体タイプです。液体の中には、インクジェットの色材である顔料や染料がどんな溶媒に溶けているかで水性インクか溶剤インクに分かれます。それ以外にUVライトを照射することによって硬化する特性を持つUV硬化インクもあります。
着色剤 (染料と顔料 )
染料 | 顔料 |
---|---|
紙に染みこむ | 紙の表面に定着する |
着色剤が溶剤に溶ける | 着色剤が溶剤に溶けない |
発色がクリアーで鮮やか | くっきりと濃い線を出すことができる |
光沢紙に印刷する時や、染め物に使われる | 長期間の保存や、光の当たる場所に展示するような物に使われる |
水性インクと溶剤インクの違い
インクは液体の状態でヘッドに供給されてノズルから 紙やフィルムなどに 吹き付けて、定着します。
水性インクと溶剤インクの出力方式は、双方同じ原理ですが、インクの成分が異なるため、メディア の仕様が異なります。
メディアとは、ロール紙や合成紙、塩ビシートなどの用紙や印刷される物の事を指しています。
水性インク
水性インクはほとんどが水でできており、 安全性が高く環境にもやさしいのが特徴です。 紙などのメディアに浸透し、水分が蒸発して定着するため浸透性のないものには印刷する事が難しいという特徴が有ります。 染料のタイプと顔料のタイプがあります。
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水性(染料)インク
耐候性に優れており、印刷校正用やポスター作成など主に屋内用に使用されています。 -
水性(顔料)インク
染料タイプより耐候性に劣りますが高発色です。耐光性が重要なポスターやパネルの印刷に使用されています。
溶剤インク
溶剤インクは薄い有機溶剤に溶けており、溶剤の種類も様々です。 あくまでも業務用途で顔料の色材を使ったものがほとんどです。
定着の仕方も着弾したインクの溶剤が乾燥して定着するため浸透性のないメディアにも印刷する事が出来ます。 溶剤インクは、耐候性・耐擦過性に優れている( 変形、変色、劣化等の変質を起こしにくい ・ 印字表面の「こすり」に対する耐性 )という特徴がある為、 広告サイン・横断幕、屋外の看板など長期間使用する印刷物に使用されています。
また、有機溶剤が揮発するまでに時間がかかり、揮発する有機溶剤のにおいが水性インクよりもきつく、換気をしなければなりません。
UV硬化インク
上記で説明したインク以外に、UVライト (紫外線) を照射することによって硬化する特性を持つUV硬化インクもあります。 有機溶剤に溶けており、水に溶けない顔料タイプです。
化学反応で定着するので耐溶剤性・耐摩耗性が高く、剥離がしづらいというメリットがあります。速乾性があり、 樹脂、ガラス、金属など非吸収性の多様なメディアに印刷することが出来るのも特徴の1つです。
発泡ボード,板などへも直接印字・定着することができるため、CDや洗剤、シャンプーなどが入っているポリボトルなど、プラスチック素材への印刷にも使用されています。
デメリットとして、 発熱しやすいため製品へのダメージが懸念される場合があるほか、 インク膜が厚すぎたり、不透明度が高かったりすると十分に硬化せず、耐久性が低くなるので、硬化不良、密着不良をおこさない加工には精巧なコントロールが必要 ということが挙げられます。
まとめ
今回、紹介させていただいた以外にもたくさんの種類のインクがありますが、 一般的なインクの種類と、「水性」「溶剤」「UV」についてご説明しました。
改めて、特徴をまとめた表が下記になります。
水性インク | 溶剤インク | UVインク | |
---|---|---|---|
溶けているもの | 水 | 有機溶剤 | 有機溶剤 |
色材 | 染料/顔料 | 顔料 | 顔料 |
定着方法 | 浸透して水分が蒸発 | 有機溶剤が揮発 | 硬化 |
メリット | 高発色・耐候性に優れている | 耐候性・耐擦過性に優れている | 速乾性があり、多様なメディアに適正 |
デメリット | 浸透性のないものには印刷する事が難しい | 有機溶剤が揮発するまでに時間がかかる | 製品へのダメージが懸念される・プリンタが高価 |
性質が複雑で違いの分かりにくいインクですが、インクの特徴やメリット・デメリットをふまえて、使用しているプリンターや用途にあったインクを選ぶようにしましょう。